安室透は医療


ゼロの執行人はまだ4回しか見ていないけど、安室透によって人生が変わりつつある。

私はこの春に高校を卒業して就職した。この前初めてお給料をもらって、私は「その日」まで、これで200連もできるんだと笑っていた。
全てFGOに突っ込む気でいた。



先に軽く触れておくと、私は中学生の頃に初めてグラブルで有償10連ガチャに手を染めてから、ガチャを回すことが人生を大きく占める楽しみだった。

ガチャは楽しい。顔のいい男と性格のいい女がたくさん手に入る。その後ちゃんと育てられるかとかではなくて、好きな顔が「自分のものになる」ことが嬉しかった。私は運が悪いことにガチャで大きく爆死した覚えがない。
それでまた、ガチャの気持ちよさだけ覚えている子供は課金を続ける。


なけなしのお小遣いの中から課金し続けて、お年玉をどうにかガチャに使いたくて、1万近く突っ込んでLEカードをゲットしたアイチュウを「音ゲーが好きくない」という理由で次の日に辞めた。
その年のお年玉は2万なので、半分をデータの海に捨てて、でもガチャを回した気持ちよさが残ったので全然後悔がなかった。


他にもデータ引き継ぎのないねこあつめに8000円課金した話とか色々あるけど、それは全部置いておいて、安室透と医療の話をする。



もう散々話題になっているので、安室透の説明は要らないと思う。必要な人は1800円かカードを握って劇場に行けばただで「劇場版名探偵コナン ゼロの執行人」を見ることが出来るので、とりあえず2回くらい見たら良くわかる。

2回というのは興行収入のあれこれとか安室透の女には色々あるけど、普通に公安警察とか公安検察とか、事前情報がないと難しい部分もあるので、1回で頑張って理解しようとするよりも2度見た方が得策だ。


私はコンビニで3000円のGoogleプレイカードを、生まれて初めて棚に戻した。



そも、事の発端はまず叔母と見に行った最初の執行に遡る。4月の末だったと思う。脳みそがジャンプしていた。
そこから先週の木曜日までまるまる記憶が飛んでいて、正気じゃなかった。恋に落ちた。手に入るSSRや金枠なら誰でもいいとかではなかった。安室透が良かった。


その後初任給を貰ったその日の仕事帰りに友達と2度目の執行に行った。自分の稼いだお金で安室透に会いに行った。帰りにパンフレットを買った。自分の働いた時間や頑張りが安室透になって帰ってきた。正真正銘、私の安室透だった。
劇場でソフトクリームを買って食べた。遅くに帰った。全てが安室透のためで、安室透のおかげで、私の自由の象徴は安室透だった。


今まで本かガチャにしかお金を使っていなかった私の金銭感覚と暮らしは劇的に変わった。


服に気を使うようになった。「安室透の女」という集団に身を置く以上、人並みに綺麗でいたかった。久しぶりに化粧をした。お金を使ってガチャを回そうなんて考えが頭から綺麗に消えていた。
この国に未来はない、私たち若い世代は潰されるだけだ、さっさと出て行ってやるという気持ちが消えた。どんなに苦しく先の見えない暮らしでも、安室透の愛する国に住むためならなんとでもしてやると思った。


今までグッズを買うことは無かったのに、私は今、安室透のコラボバッグを買うために口座に入金してきた。そのとき、目の前にGoogleプレイカードがあった。


FGOではシャーロックホームズのピックアップ中だ。

ホームズは私が初めて宝具を重ねることが出来た☆5で、それをきっかけに原作を読み、運命のサーヴァント・ギルガメッシュと並んで、いつか別の聖杯戦争でもきっと召喚されてくれるであろう頼もしい相棒である(この辺の気が狂った話はまた後日書く)。
私はホームズの宝具をさらに重ねたかった。


Googleプレイカードを手に取る。会社の昼休みは、貰った単発石で既に金枠鯖を3人ほど引いていた。毎回引けている計算である。今引けば行けると思った。


そのとき、財布から抜けた1万円が頭をよぎった。今入金してきた額だ。
私は安室透の鞄で、休みの日服を買いに行くようになる。可愛くおしゃれして、誰もが「あの子は彼氏とデートに行くんだ」と思うような、素敵で、自由な「大人の女性」になっていく。


カードを棚に戻した。そこは会社に着いて朝一で走って先週のサンデーを買いに行ったコンビニだった。


私は少なくともあと1回、執行されに劇場に向かわなければならない。でもそろそろ一緒に執行されてくれる友達も減ってきた。
私はきっと、生まれて初めて1人で映画館に行く。